ムダ毛ケア方法としては最もポピュラーなカミソリでの処理。
しかし、カミソリは手軽な反面、肌トラブルが起こりやすいというデメリットも。なかでも、カミソリ負けは、ほとんどの女性が経験しているのではないでしょうか。
そこで今回は、カミソリ負けの原因から、予防法、治療方法までを詳しく解説していきます。
- カミソリ負けはなぜ起こるの?
- カミソリ負けの予防方法を知りたい
- カミソリ負けを早く治す方法を知りたい
カミソリ負けとは?
カミソリ負けとは、ムダ毛をカミソリで剃った後に起こる肌の炎症のことで、正式には「尋常性毛瘡(じんじょうせいもうそう)」と言います。
カミソリ負けが起こる仕組み
カミソリ負けは、ムダ毛と一緒に表皮の一番上にある「角質層」を削っていることが原因です。
角質層は、摩擦や細菌、紫外線などの外的刺激から肌を守る「バリア」の役割をしています。
しかし、カミソリによって角質層に細かな傷がつくとバリア機能が弱まり、普段は何でもない刺激が痛みや痒みとなって現れます。
また、傷口から黄色ブドウ球菌などの細菌が入って炎症を起こすこともあります。この炎症が、いわゆるカミソリ負けです。
カミソリ負けの症状
カミソリ負けには、さまざまな症状があります。
- 剃ったあとが赤くなってヒリヒリする
- 剃った部分に化粧水などを塗るとしみる
- 剃ったあとにかゆみがある
- 赤い発疹または白いボツボツ(膿疱)ができる
剃毛後に起こる不快な赤みやヒリヒリ感、かゆみ、発疹などは全てカミソリ負けによるものです。
カミソリ負けが起こる3つの原因
カミソリ負けの原因は主に3つ。
1.カミソリ自体に問題がある
カミソリは劣化します。長い間同じものを使っていると、刃こぼれやサビによって剃り味が悪くなり、刃が肌にひっかかって傷をつけます。
また、ムダ毛処理は入浴時にする方も多いと思いますが、カミソリを浴室に置きっぱなしにするのは絶対にNG。
浴室は一見清潔そうに見えますが、温度も湿度も高く、雑菌が繁殖しやすい環境です。
石鹸カスやシェービングクリーム、皮脂などの汚れがついたカミソリを放置すればすぐに雑菌が繁殖し、濡れたままにしておくことでサビも生じます。
カミソリで傷ついた肌から雑菌が入ると、炎症が悪化するリスクが高まります。
2.あやまった剃り方をしている
カミソリを使い慣れている方でも、意外に多いのが、あやまった方法で使い続けているケース。いくら清潔で切れ味の良いシェーバーでも、カミソリ負けが起こります。
カラ剃り
肌が丈夫な人でも高い確率でカミソリ負けを起こすのが「カラ剃り」です。カラ剃りとは、何もつけない乾いた肌に、直接カミソリを使うこと。
刃の滑りが悪いため、肌にひっかかって出血するだけでなく、角質層を傷つけやすく肌の乾燥にもつながります。
逆剃りや二回剃り
「逆剃り」は、根元からキレイに剃れるため、習慣的に行っている方も多いことでしょう。また、よりツルツルに仕上げるため、一度剃った場所をもう一度剃る「二回剃り」をしている方も多いですよね。
しかし、逆剃りは毛の流れと反対方向に刃を動かすことで、毛を引っ張ってしまうため、毛穴や周辺の皮膚を傷つけます。
二回剃りは、カミソリによって一度傷ついた肌の上に再びカミソリを当てるわけですから、肌ダメージが非常に大きくなります。
3.肌や毛質に問題がある
定期的にカミソリを替えていても、正しいシェービングの仕方をしていても、肌状態や、毛質に問題があるとカミソリ負けすることがあります。
敏感肌や乾燥肌
敏感肌とは、花粉やアレルギー・食生活・ストレスなどさまざまな原因で刺激に敏感になっている肌のこと。
化粧水や洗剤・衣類など、ちょっとしたものが刺激になり、赤みや発疹、かゆみなどが出ます。
一方、乾燥肌とは、水分量や皮脂の分泌量が少ない肌のこと。カサカサとして潤いがなく柔軟性がないのが特徴です。
どちらの肌も刺激に敏感なので、カミソリ負けが起こりやすいです。
生理前後や妊娠中
生理前後や妊娠中でホルモンバランスが乱れているとき、風邪をひいて体調が悪いときなどは、肌の健康を保つ常在菌のバランスが崩れがちです。
肌の免疫力が落ちるため、普段と同じようにムダ毛処理をしてもカミソリ負けすることがあります。
毛が硬く濃い部分や剛毛な方
剛毛な方や毛が硬く濃い部分は、カミソリ負けをしやすい傾向にあります。
産毛や、細くやわらかい毛は軽い力で剃れますが、男性の髭や女性のVIOラインなどの硬い毛は、つい力を入れて剃ってしまいがちです。
すると、刃が角質層をえぐるように削るため、カミソリ負けするリスクが上がります。
【部位別】カミソリ負けの治し方
カミソリ負けを治す際の基本は、まずカミソリでの自己処理を中止すること。そして患部を冷たいタオルなどでよく冷やすことです。
症状が軽ければ、これだけで自然治癒することが多いですが、ここでは、痛みやかゆみが強い場合のカミソリ負けの治し方について、部位別に見ていきます。
女性の顔(鼻の下・口周りなど)
顔がカミソリ負けでヒリヒリする場合は、冷たい水で顔を洗ってから、保湿クリームを塗りましょう。浸透性の良い化粧水はしみるので使用しない方が良いです。
保湿をしても赤みや痛みがひかないときは、「オロナインH軟膏」がおすすめです。
オロナインH軟膏には、殺菌成分と止血成分が配合されているため、炎症を抑えつつ細菌感染も防げます。また、オリーブ油やワセリンが配合されているので、患部を保護する効果もあります。
男性の髭
カミソリ負けをした際、早く治す1番の近道は患部を触らないこと。しかし、社会人にとってヒゲ剃りはマナーですから、治るまで伸ばしっぱなしというわけにもいきません。
カミソリ負けが治るまでは、電気シェーバーを使用し、少しでも肌への負担を減らしましょう。そのうえで、皮膚科で薬を処方してもらうのが、最も安心で早く治ります。
皮膚科に行く時間がない場合は、女性の顔同様「オロナインH軟膏」がおすすすめです。
Vラインなどの陰部(デリケートゾーン)
Vラインなどのデリケートゾーンは、皮膚が薄いのに毛が硬く濃いため、カミソリ負けしやすい部位です。そのうえ、常に下着の摩擦があるため、1度カミソリ負けができると治りにくいのも難点です。
除毛後は毛先がチクチクして痒みを感じやすいですが、決して掻いてはいけません。我慢できないときは、冷たいタオルで冷やし、デリケートゾーン専用の軟膏を塗りましょう。
また、カミソリ負けができたらできるだけ患部を刺激しないよう、締めつけのない下着を選びましょう。
足や腕
足や腕はムダ毛処理の頻度が高いうえに、夏は日焼けによる乾燥、冬は湿度の低下による乾燥が原因で、カミソリ負けしやすい部位です。
カミソリ負けが治るまでは、ボディソープを使用せず、お風呂もシャワーだけにしましょう。湯船に入ると傷口に雑菌が侵入する恐れがありますし、体が温まることで痒みが生じるからです。
また、広範囲にわたって赤く腫れている場合は、刃のサビや欠けにより雑菌が入った可能性があります。
患部が熱をもっているようなら、保冷剤などで冷やして鎮静したあと、「オロナインH軟膏」をのせるようにしてつけます。化膿している場合は皮膚科を受診しましょう。
ワキ
ワキにカミソリ負けが起きた場合は制汗剤の使用を中止し、肌にやさしいタイプのローションなどで保湿して様子を見ましょう。
痛みやかゆみが治まらないときは、他の部位同様、「オロナインH軟膏」を塗ってください。
ただし、赤いニキビのようなものができたときや、ワキ全体が赤く腫れているときは、細菌感染している可能性があるので、皮膚科を受診しましょう。
また、ポリエステルなどの化学繊維は、肌を刺激しかゆみが増すため、下着は天然素材の綿を着用しましょう。
手の甲や指
手の甲や指がカミソリ負けした場合は、患部を刺激しないよう指輪などのアクセサリーは外し、ハンドクリームでこまめに保湿ケアをしましょう。
また、洗浄力の強いハンドソープの使用は控える、食器洗いをするときはゴム手袋を着用するなどして、乾燥や刺激を避けると早く治ります。
カミソリ負けが完治するまでの期間はどれくらい?
カミソリ負けは、肌質などによって個人差がありますが、軽度であれば2~3日で自然治癒するケースがほとんどです。
赤みやかゆみが強い場合でも、適切な処理をすれば、同じく2~3日もあれば症状は落ち着きます。
痛み・かゆみ・赤みが増す!カミソリ負けの悪化リスクがあるNGな対処法
カミソリ負けになってもすぐに対処すれば、長くても1週間程度で症状は改善します。しかし、あやまった対処をすると悪化するリスクがあるので注意しなくてはいけません。
カミソリ負けの悪化リスクがある対処方法は、以下の通りです。
【NG①】ムダ毛処理を続ける
カミソリ負けしているにも関わらずムダ毛処理を続けていると、角質層がどんどん傷つき、肌のバリア機能が失われてしまいます。
傷口から雑菌が侵入し、さらに症状が悪化する恐れがあるので、肌が健康な状態になるまでは、カミソリ・毛抜き・脱毛ワックス・除毛クリームなどいずれの自己処理もお休みしましょう。
どうしても気になる場合は、ムダ毛処理方法のなかで唯一肌への負担が少ない電気シェーバーを使用しましょう。
【NG②】保湿ケアをしない
カミソリ負けで赤みがあったり、肌がヒリヒリしているときは、余計なものを塗らない方が良いと思う方も多いでしょう。
しかし、カミソリ負けは、角質層が剥がれたり傷ついたりしている状態です。
角質層は、水分が体外へ蒸発するのを防ぐ働きもしているため、カミソリによって傷つくと、肌が乾燥しやすくなります。
乾燥したままにしておくと、紫外線や衣類のスレ、髪の毛が肌に触れるなどの外部刺激に敏感になり、かゆみや炎症が悪化します。
刺激の少ない化粧水や乳液、クリームなどでしっかり保湿をしましょう。
ただ、カミソリ負けをしているときは、普段使っている化粧水などでは滲みることがあるので、その場合は、ワセリンがおすすめです。
ワセリンは、浸透せずに肌に膜を作り、水分の蒸発を防いだり外部刺激から守ってくれる働きがあります。
【NG③】カミソリ負け用ではない薬を使う
カミソリ負けをした際、「とりあえず何か家にある薬を塗っておこう」という考えは危険です。症状に合っていない薬を塗ることで、改善するどころかカミソリ負けが悪化してしまうことさえあります。
薬はきちんと効能を確認し、分からない場合はむやみに使用しないようにしましょう。以下に、特に注意したい薬をご紹介します。
ニキビ治療薬
ニキビ治療薬には、できはじめの白ニキビ、炎症が進んだ赤ニキビや黄ニキビなど、ニキビの状態によってさまざまなタイプがあります。
そのなかで、注意が必要なのは皮膚の脂肪分を吸収する成分が含まれているもの。肌を乾燥させてしまうため、カミソリ負けの治療薬には適しません。
ステロイド軟膏
アトピー性皮膚炎などに処方されるステロイド剤には、アレルギー症状を抑える『免疫抑制効果』がありますが、同時に正常な免疫反応も抑えてしまうため、雑菌に対する抵抗力が弱くなってしまいます。
ステロイド剤は、カミソリ負けの処方薬として使用されることもあり、正しく使えば高い効果を発揮します。
ただし、注意すべき点も多いので、使用の際は説明書をよく読み、分からない場合や薬剤師さんに相談しましょう。
カミソリ負けの悪化による肌トラブルと治療法
たかがカミソリ負けとあなどり、きちんとした処理をしないで放置しておくと、悪化してしまうことがあります。
ここでは、カミソリ負けからどのような肌トラブルに発展するのか、また、その場合、どのような治療法があるのかを解説していきます。
埋没毛
埋没毛とは、皮膚の下で毛が成長してしまうこと。
カミソリで削られた肌を修復しようと薄いカサブタができたり、カミソリの刺激から肌を守るために角質層が硬くなったりしたために、毛の出口がなくなってしまうことが原因です。
埋没毛は放っておいても害はありませんが、たくさんできると剃り残しがあるようで見た目が良くありません。
ただ、無理にピンセットなどでほじり出すと傷がつき、炎症を起こす可能性があります。
気になる場合は、ピーリングやスクラブなどでやさしくマッサージし、古い角質を除去することで、埋もれた毛が出やすくなります。
色素沈着
肌は、摩擦や炎症、紫外線などの刺激を受けると、黒色のメラニンという物質を作り、バリアとなって肌を守ろうとします。
通常メラニンは、肌の新陳代謝とともに排出されますが、強い刺激を受けたり、長期間刺激を受け続けると排出が追いつかなくなり、肌に蓄積されて色素沈着します。
刺激をストップさせれば、基本的には時間の経過とともに薄くなっていきますが、頻繁にムダ毛処理をしたり、傷があるにも関わらず処理を続けたりすると、何年も消えない黒ずみになることもあります。
美白効果のあるクリームやサプリメントで、色素の定着が予防できますが、すでに濃くなっている場合は改善までに時間がかかります。
化粧品やサプリメントで効果が出にくいときは、皮膚科を受診しましょう。
色素沈着を取る方法としてはほかにも、薬品を塗布して古い角質を除去し、肌の新陳代謝を促すピーリングや、レーザー治療もあります。
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カミソリ負けにならないためにはどうすればいいの?
カミソリ負けをしてしまうと、しばらくムダ毛処理ができなくなるだけでなく、痛み出たり、ときには治療が必要になることもあります。
そうならないために、カミソリ負けしないための予防方法や対策をご紹介します。
ムダ毛処理の事前準備をしっかり行う
カラ剃りは、肌に非常に大きなダメージを与えます。剃る前は必ずシェービングフォームやクリームなどを塗りましょう。
そうすることで、刃の滑りが良くなり、肌への摩擦が少なくなって、ダメージを最小限に抑えられます。
カミソリを使用するタイミングとしては、入浴後10分程度経ってからがおすすめ。肌や毛がやわらかくなっているため、軽い力で剃りやすくなります。
お風呂に入れない場合は、ホットタオルを脱毛部位にしばらく当てると同様の効果が得られます。
ただ、入浴中や入浴直後は肌がふやけており、刃で傷つけてしまう危険性があるので避けましょう。
正しくカミソリを使う
カミソリ負けをしやすい剃り方としてあげられるのが、「逆剃り」や「二回剃り」。どちらも、毛穴や角質層に傷をつけてしまいます。
カミソリは、毛の流れにそって優しく滑らせるように剃るのが基本。うまく剃れないからといって、力を入れたり、流れに逆らって剃ったり、同じ場所を何度も往復させてはいけません。
濃い毛を処理をする場合は、3枚刃や4枚刃など刃の枚数が多いシェーバーを選ぶと良いでしょう。1枚刃よりも、刃にかかる力が分散されるため、軽い力でも根元からキレイに剃れます。
清潔で切れ味の良いカミソリを使う
使い捨てタイプでも、替え刃タイプでも、使用期限は2週間ほどです。
古いカミソリは切れ味が悪く、何度も肌の上を滑らせたり力を入れてしまったりするので、肌に細かな傷がたくさんついてしまいます。
さらに、長く使っていると菌も付着しやすくなるため、細かな傷から菌が侵入して炎症を起こしてしまいます。
「もう少し使えるのでは?」という気持ちがカミソリ負けにつながります。もったいないと思っても2週間使用したら、見た目に問題がなくても新しいものと交換しましょう。
注意したいのは、ホテルや旅館などにアメニティとして置いてあるカミソリ。こちらは、長期利用を想定した作りにはなっていないので、1~2回使用したら処分しましょう。
常に清潔で切れ味の良い状態で使っていれば、カミソリ負けになるリスクはかなり抑えられます。
アフターケアをしっかりする
カミソリを使用した後の肌は敏感なので、アフターケアをしっかり行いましょう。
まずは、冷たいタオルで肌を冷やして鎮静させます。こうすることで、炎症やかゆみを未然に防ぐことができます。
その後は、刺激が少なく保湿効果の高いローションやクリームを塗って、肌の潤いを保ちましょう。
保湿ケアを欠かさない
ムダ毛処理後すぐのスキンケアは当然のことながら、普段から肌のコンディションが良い状態をキープすることも、カミソリ負けを防ぐのに有効です。
入浴後は、たっぷりの化粧水で肌に水分を補ったあと、クリームでフタをして水分が逃げないようにするのがおすすめです。
特に空気が乾く冬場は、ひざ下が粉をふいたようになる女性も多いでしょう。カミソリを使う頻度も高い場所なので、朝起きたとき、帰宅後など、乾燥していると思ったらこまめにクリームを塗りましょう。
ムダ毛処理は体調や肌の調子の良いときにする
妊娠中、生理中、風邪をひいているときなどは免疫力が弱くなっているため、カミソリ負けを起こしやすくなります。
また、もともと肌荒れをしているときや、日焼けをして肌がほてったり乾燥したりしているときも、肌が敏感になっていることから、炎症を起こしてしまいます。
カミソリでのムダ毛処理は、体調や肌の調子が良いときにしましょう。
電気シェーバーを使用し、カミソリでのムダ毛処理の回数を減らす
カミソリ負けをしないために最も効果的な方法は、カミソリを使う頻度を減らし、ダメージを受けた肌をしっかり休ませることです。
理想は2週間に1回程度ですが、脇やひざ下など、2週間も放っておけない部分は電気シェーバーをメインに使用することをおススメします。
カミソリのように刃が直接肌に当たらないため、肌への負担が最小限に抑えられます。
まとめ
カミソリ負けを防ぐためには、以下の4点を守りましょう。
これらに注意し、毛の流れにそってやさしく剃るようにすれば、カミソリ負けのリスクは減らせます。
ただ、事前ケアやアフターケアが面倒な方、肌が弱く気をつけていてもカミソリ負けしてしまう方は、光脱毛や医療レーザー脱毛がおすすめです。
自己処理の必要がなくなることで、カミソリ負けの原因を根本からなくすことができます。